タバコを吸っていると、
思い出すことがあるのです。
新卒二年目で建売用不動産の販売だった頃、
同い年だけど年間売り上げ1位の先輩がいたのです。
同い年なのに、
上司からの圧力に屈しず、
常に前向きにポジティブな先輩でした。
私のことは、常に可愛がってくれて、
移動するときもいつも私を連れ出してくれました。
そんないい先輩なのに、
周りからは疎まれていた先輩でした。
でも私はその先輩が大好きで、
いつも話しかけに行ったり、
常に行動し、先輩からその技を盗もうと、
一生懸命でした。
あるとき、喫煙所で、
仕入れ用不動産の情報が少ないことを
相談したときにこんなこと言ってくれました。
「お前はタバコを吸うとき、なぜ最後の1ミリまで
吸わないんだ?」
理由はいろいろ浮かびました。
短く吸っていると熱くなってくるから。
健康に悪いから。
めんどくさいから。
時間が少ないから。
先輩は私が列挙したことを聞いた後、
こう言いました。
「営業はなぜ相手がそのように考えているのかを、
先読みしてアプローチしなければならない、
相手が考えうることを全てできるだけ考えてアプローチするんだよ。」と。
私はその言葉を聞いて、なぜ相手が情報をそう簡単に渡して
くれないのかを、書き出して営業を掛けに行きました。
2週間後くらいに契約できました。
先輩が言ったことは、営業として当たり前かもしれません。
ですが当時私が愛用していたタバコになぞって、
このことを話したことを今でも鮮明に覚えています。
その会社で馬車馬のごとく働いている時は、
この言葉をすっかり忘れていました。
もちろん転職先でもです。
ですが今休んで考えていると、
この時の先輩とのお話が鮮明に思い出されてくるのです。
この話を最近よく、思い出すようになってきてからは、
もう一度営業で結果を出したいと思ってきます。
私は営業から逃げた人間ですが、
将来的にはまた、この先輩に会えることを信じて
やり遂げてみたい。